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<編集部からのコメント>
6月に入ってよく目にするのがこの「住宅ローン金利最低に」というニュースです。主要紙ではほとんど報道されたのではないでしょうか?もちろん住宅ローン金利が下がることは良いことですし、こうしたニュースを通じて、今まで住宅購入に踏み切れなかった方々が「いよいよ購入するか」と決断するキッカケになるのであれば悪いことではありません。
既に住宅ローンを借りている方々にも「もしかしてウチのローンの金利は高いかも!?」「借り換えを検討してみるか」などといった気づきを与える効果があるかもしれませんね。
ただケチをつけるわけではありませんが、記者自身はこうしたニュースに少し違和感を覚えたのも事実です。「住宅ローン金利が最低に」と報道された根拠は、メガバンクの10年もの固定金利が過去最低になったからですが、ではこの10年固定金利の貸し出しシェアは、メガバンクの住宅ローンの中でどれくらいあるのでしょうか?
間違いなく1割以下でしょうね。というのもメガバンクの住宅ローンの貸し出しの9割近くは変動金利タイプだからです。
なのでもしこうした趣旨のニュースを配信するのであれば、メガバンクの変動金利が大きく下がった昨年秋だと思うのですがいかがでしょう?
そんなわけで、最近のこうした報道にやや「今さら」感を覚える記者でありますが、とは言いつつ、上記の通りこれがマイホームプランや住宅ローンを前向きに見直すキッカケになるのであれば良いことですね。何かと小忙しい今の時代、キッカケというのはとても大切なことであります。
さてこのように住宅ローンの金利が下がっている背景はと言えば、もちろんそもそも長期金利が低下しているというのもありますが、それ以上に銀行間の住宅ローン競争が厳しくなっているからですね。
銀行の貸し出しは少子高齢化などによる構造的な問題で完全に低下傾向にありまして、昨年は震災の復興需要もあり若干増加したようですが、全体的に見れば貸し出しがどんどん減る「カネ余り」状態になっております。
銀行の収益の源泉はやはり貸し出しですが、それが細るわけですから苦しいですね。
そんな貸し出し全体が苦戦する中で数少ない成長事業が住宅ローンです。少子高齢化の中で住宅ローンが拡大していることに違和感を覚える方も多いと思いますが、その理由は旧住宅金融公庫の住宅ローン残高が減り、その分が民間の住宅ローンに流れているからですね。上記記事で紹介されていた残高推移はこのようになっています。
民間の住宅ローン金利の低下と歩調を合わせるように、公庫の住宅ローン残高がどんどん減っているのが良く分かります。2003年からの8年でほぼ半減しているように見えます。ということは単純計算すれば2020年ごろには完全に公庫の残高が0になるということですね。
これはある意味、民間ができることを公的にやっていた証拠になりますので、公庫の残高が縮小していくことは悪いことではないと思いますが、気になるとすれば、確かに民間の住宅ローンの残高は飛躍的に増えているものの、全体の残高は2008年くらいをピークに徐々に下がり始めている点ですね。
ということはつまり、公庫経由の住宅ローンの「刈り取り」がすっかり終わってしまえば、民間の住宅ローン間の競争がさらに激しくなる、ということを意味します。
すでに激しくなっている住宅ローン競争ですが、さらに激しくなるというのはどういうことでしょう?
想像もつきませんが、住宅ローン利用者がますます厚遇されるのは間違いないでしょうね。もちろんそれは良いことであります。
大手銀行の口コミでは、「態度が横柄だった」「貸してやるという態度が見え見えだった」というご意見がよく届きますが、こういう状況も変わっていくのでしょうね。逆に言えば、そうした銀行は、住宅ローン利用者からそっぽを向かれ、淘汰されていくのかもしれません。
そうした接客マナーも含め、住宅ローンの金利やサービスがさらに改善されることを期待したいと思います。